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TABIMARU.com

世界4周中の情報系旅人が綴る、世界や旅の情報あれこれ〜たまに恋〜

太陽と夜。決して重ならないもの同士が恋に落ちる時。

一人旅でやってきたギリシャ。

期待していたギリシャの遺跡。

 

その中でもパルテノンに憧れていた。

パルテノンを見る為にやってきたといってもおかしくない。

 

けれど、そのパルテノンを見て僕は感動できなかった。

そこにあったのは僕の描いていたパルテノンではなかったから。

 

パルテノンに失望した僕の目に入った美しい景色。

サントリーニ島。

僕はすぐに船の予約をし、サントリーニへ向かう船に乗った。

 

そこで出会ったフィンランド人の女性。

僕らはすぐに仲良くなり、乗船中話し続けた。

 

船を降り、別々の宿へと別れた僕ら。

けれど僕らは再び出会う事になった。

 

僕が泊まっていた宿に彼女が泊まる事になったからだ。

 

彼女がやってきた。

僕らは昼食を食べにでかける。

カラフルなギリシャ料理と美味しいドライワイン。

 

食後僕らは宿に戻り、あらかじめ冷やしておいたサントリーニの甘い白ワインを取り出す。

二つ並んだグラスにはピンク色の白ワインが注がれた。

 

少し横になる僕ら。

ベッドがダブルベッドだったという事に関してはもう僕も彼女も何も思っていない。

 

僕らが引き寄せられているのはもう心だけではなかったから。

 

 

 

僕らはピスタチオとレモンのアイスクリームのようだ。

『何時に出かける?』

 

少しまだ眠たい。

けれど、今何時なんだろう。

確か眠りについたのは14時過ぎ頃だったような気がする。

 

時計をみると16時30分となっていた。

2時間半も寝てたのか。

 

『そろそろ出かけないと暗くなっちゃうね』

 

『うん。そしたら準備する』

 

 

僕らは外へ行く準備をする。

カバンは必要ない。

カメラと財布、携帯。

そして僕らの部屋の鍵。

 

彼女はそこまで化粧をしない。

というよりは、必要がないと僕は思っていた。

そのままで十分可愛いし、魅力的だから。

 

僕らが泊まっている宿はイアの街の中心地にある。

だから宿の外に出ればすぐに白い街。

 

昨日は一人で歩いていた街を今日は二人で歩く。

少し不思議で、少し照れくさい。

 

だって彼女はとても綺麗な女性だし、僕なんかが横に立っているのは少しばかり違和感もある。

僕がそう思うんだからきっと周りの人だってそう思っているだろう。

けれど、僕らは一緒に歩いている。

 

 

昨日は繋いでいなかった手を繋いで。

 

『まだ少し暑いからアイスクリームでも食べない?』

僕は彼女にそう聞いてみた。

 

『うん。ピスタチオね』

彼女がそう答える。

 

アイスクリーム屋でピスタチオとバニラの二段重ねを一つ。

そして、もう一つはバニラの代わりにレモンを。

 

 

『ピスタチオとレモン?なんか味が戦いそうだけど』

僕はそう思った。

 

『これがちょうどいいんじゃない。甘いピスタチオと酸っぱいレモン。食べてみる?』

 

僕はちょうどピスタチオとレモンのアイスが重なる部分を食べてみた。

 

うん。

悪くはない。

意外な事にそこそこ美味しくも思う。

 

 

『美味しいね。びっくりした』

 

『でしょ。私も最初オーダーする時に悩んだんだけどね。意外にマッチするでしょ』

 

そう。

僕らと同じだ。

僕らは何もかもが違うように見える。

実際に違うとも思う。

 

けれど、僕らは“意外な程マッチ”している。

 

僕らはピスタチオとレモンのアイスクリームのようなものだ。

 

 

今日は特別なサンセットになりそうだ

僕らはアイスクリームを食べながら白い街を歩いた。

白い壁に青い屋根。

時々紫やピンクの花が壁から垂れ下がり、街をカラフルにしている。

 

『綺麗な街ね』

 

『うん。他ではなかなか見る事ができない街かもしれないね』

 

『そうだね。あまり他の場所では見れないね』

 

僕たちはしばらく街を歩く。

サンセットまでは残り2時間程といったところだろうか。

 

『今日はサンセットを見たいんだけど』

 

『いいよ。私もイアでのサンセットを見てみたいし』

 

『人気がある場所なんだ。だからちょっと早くに行って待たないといけないんだけど』

 

『そうなんだ。それでもいいよ。オススメの場所っていう事でしょ?』

 

『そうだね。まぁどこで見ても綺麗なんだろうけどね』

 

僕は彼女を目的の場所まで連れて行く事にした。

サンセットまでは2時間ある。

まだそこまで混雑はしていないだろう。

 

 

僕はあらかじめチェックしていた場所へ彼女を連れて行った。

一番夕日が綺麗に見える場所。

いや、夕日に照らされるサントリーニ島が美しく見える場所。

 

そこにはすでに何名かの人の姿があった。

 

『ここなんだけど。サンセットまではもうちょっと時間がありそうだ』

 

『うん。綺麗な場所だし、景色を見てるだけで待てるよ』

 

少しだけ雲がある空。

きっと夕日が落ちる頃、あの雲は真っ赤に染まるんだろう。

 

サントリーニ島で一番美しい時間をこうやって誰かと一緒にいる事ができる。

一人で来る事を決めてサントリーニ島だったのに。

これも旅でのいい出会いの一つなんだろうな。

 

僕らはこの場所で景色を眺めながら待つ事ができる。

それは僕らにとってとても簡単な事。

問題はない。

 

僕らにはもうわかっているから。

そのサンセットが間違いなく美しいものである事を。

 

そしてこのサンセットが特別なものである事を。

 

 

太陽って生きているでしょ。生きているって事は恋をしないといけない。

太陽が沈んでいくとともに、まわりには多くの人がやってきた。

いつの間にか僕らがいる場所にも、僕らを取り囲むようかのように人だかり。

 

『すごい人ね。本当に人気がある場所なんだ』

 

『そうみたいだね。まぁ、どこで夕日を見ても綺麗に違いはないんだろうけど』

 

『うん。海が見えて、白い街が見えればきっとどこでも綺麗だろうね』

 

『その通り。あえて言うならそこにワインでもあればいいのかもしれないけれど』

 

『贅沢な意見だけど賛成』

 

 

太陽の光は徐々に弱まってきている。

上をみあげなくても太陽はもう目の前にあった。

 

色を赤みがかったオレンジ色へと変える太陽。

今となってはその輪郭が規則正しく丸であるという事を理解する事が容易い。

 

オレンジ色の太陽は、白いサントリーニをその同じ色へと染めていく。

白という色はとても便利な色だ。

周りから与えられる色へと柔軟に変化をしてくれる。

そして、その場所が同じものであったとは思えないような景色へと変貌させる。

 

今目の前にあるサントリーニの景色は、昼間に見たものとはまったく異なるものだった。

 

 

太陽はゆっくりと沈む。

水平線の向こうに。

 

別の場所から拍手の音が聞こえる。

何に対する拍手?

そう疑問を持つ事は仕方なのない事。

けれど、その答えはすぐにわかる。

 

その拍手の音は少しずつこちらへと近づいてくる。

 

誰かの誕生日を祝うわけでもなく、プロポーズの成功を祝福するわけでもない。

 

その終わる事のない拍手は、今日1日の役目を終えた太陽へと贈られる拍手だった。

そこには、美しいサンセットをありがとうという意味が含まれているんだろう。

 

僕らも同じように拍手をした。

太陽への感謝の気持ちを表すために。

 

『僕が質問したい事があるって言ったよね。覚えてる?』

 

『うん。覚えてる。何?』

 

『昨日太陽が沈むのを見ていて思ったんだけど、太陽って夕日になったら自分の目で見れるでしょ。でも、昼間はとてもじゃないけど自分の目で見る事は難しい。まぶしくてみていられない。だけど、夕日になったら見る事ができる。まぶしいとも思わない。これって、一体なんでなんだろう。僕らが見ているのは同じ太陽なのに。

この事を君に聞いてみたかった。』

 

 

僕は彼女にそう尋ねた。

彼女はしばらく考えているようだった。

僕が言ってる事を軽いジョークだと思って受け流してくれたってよかったけれど、どうやら彼女は真剣に答えを探してくれているようだ。

 

 

『それは、正しい答えが必要な質問?』

 

彼女はそういった。

 

『いや、正しくなくていい。人それぞれの考え方があればその方が楽しいから』

 

『よかった。私にはその正しい答えはわからないから』

 

『僕もわかるはずがない。これから先もわからないままでもいいかもしれない』

 

正しい答えなんて必要はない。

物理だか化学だか地学だかそういったものは苦手だ。

今ここでその話をすると、僕は数秒で眠る事ができるだろう。

 

 

『太陽って生きてるでしょ。生きてるって事は、何かに恋をしていないと生きていけない。

きっと、太陽は夜に恋をしてるんだと思う。毎日訪れる夜っていう時間に恋をしてるの。

その時間がくるのを太陽はとっても楽しみにしてる。毎日。毎日。

けれど、太陽と夜が重なる事はない。

太陽が昇ると夜は去り、夜が訪れると太陽は沈む。重なる事はきっと永遠にない。

だけど、太陽は夜に恋をしてる。自分の姿を失わせる事によって訪れる夜っていう時間に。

うまく言えないけど、太陽が夜になりに連れて眩しさを失わせているのは、自らそうしてるんじゃないかって思う。

夜を美しくするために、自分が恋をしている夜を美しくするために、自分の力は強すぎるから。

だから、太陽は夜を迎える時に少しずつ力を抑えていってる。そして、夜という時間の主人公である月と星を照らす裏方にまわってくれてる。

なんだか不思議な解釈になっちゃったね。

でも、shoが求めていたのはこういう解答でしょ』

 

『うん。どちらかというとそういう解答だと思う。ロマンチックなもの。』

 

『じゃあ、正解ね』

 

『そうだね。』

 

その答えはきっと正解なんだろう。

もともと正解か不正解を決めるものではないけれど、あえていうなら僕にとっては正解と言える答えだから。

 

けれど、その答えの中には一つ質問をしないといけない要素が含まれている。

 

 

太陽と夜。その答えは時に正解であり、時に不正解である。

僕は一つの質問をする事にした。

『生きているって事は恋をするっていう事なんだよね。あなたは今恋をしていますか?』

 

太陽が生きているから恋をしている。

だったら、今生きている僕らは恋をしているはず。タイミングというものもあるだろうけれど。

今がそのタイミングであってもおかしくはない。

 

『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない』

 

『なんだかよくわからない返事だね』

 

『うん。なんだろう。恋をしているのはしているけれど、太陽と同じなのかもしれない』

 

『それは太陽と夜のようにという事』

 

『太陽と夜。そうね。そういう事なんだと思う』

 

『重なり合う事はないという事』

 

『あるいは』

 

僕にはその答えの意味がわかっていた。

僕らの恋は成就しないという事。この旅が終われば僕は日本へ、彼女はフィンランドへ戻るという事。

そして、ひょっとしたら彼女にはフィンランドに大切な誰かがいるのかもしれない。

聞いてはいないし、聞くつもりもないけれど。今はその事が必要なわけじゃないから。

 

『そうか。太陽と夜は重なりあわない。』

 

『うん。太陽と夜だとすると重なり合う事はない』

 

『それは、あなたが太陽だとすると、僕は夜かもしれない』

 

『そうとは限らないけれど。でも、そういう事もありえるかもしれない。一つの仮説としてだけれども』

 

そう。一つの仮説として僕は夜になりうる。

けれど、そうならない事もある。

永遠に重なり合う事がない太陽と夜。僕らは永遠に重なり合う事がないと決まったわけではないから。

 

なぜなら僕らは一緒にいる。

同じ時間を同じ場所で共有している。

そして、すでに手は重なり合っている。

 

太陽は沈み、夜が訪れた。

けれど、僕らの手は、肩は、腕は、重なったままだ。

 

それは僕らが太陽と夜ではないという事。

少なくとも、この島の中においては。

 

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